冬と春の境目 森 林 公 園 岡 山
民主党元合衆国大統領、オバマ氏ほど、歴代のアメリカ合衆国大統領の中で、「人格者」は居ないと言っても過言ではありません。
しかし、彼の犯した外交上のミスは、戦争を引き起こした歴代のアメリカ合衆国大統領と比較しても、はるかに多くの人命を奪ってしまうミスを犯してしまいました。
舞台は中東でした。2010年から2011年に、「アラブの春」と呼ばれたアラブ世界の民主化運動は、イラクとシリアに於いても、民主化運動が吹き荒れる結果となりました。
2つの国には、共通点がありました。それは、「どちらの国も、裕福な少数民族からなる政府が、腐敗政治をしながら、弱者の多数民族を支配する」という構図を持っている事でした。
しかし、2003年まで、政府は、富裕少数民族である、スンニー派出身のフセイン大統領が支配し、親戚・同族のみで、利益分配をする腐敗政治が横行しておりました。
しかし、オバマ氏の直前のアメリカ大統領であった、ブッシュJr氏によって、「イラク戦争」が引き起こされ、イラクにおける少数スンニー派の支配は終わりを告げることとなります。
ブッシュJr氏の後にアメリカ合衆国大統領に就任したオバマ氏は、戦争嫌いで、中東の地で、アメリカ人の若者たちが血を流すことを嫌い、
イラクに於ける「アラブの春」の混乱を放置したまま、2011年12月、米軍を全面撤収しました。
その後、イスラムシーア派大国イランの介入もあり、多数民族のシーア派の政府が、イラクで誕生します。
しかし、恐怖政治を強いていたスンニー派の少数富裕層に対する、シーア派民衆の恨みは深く、スンニー派への弾圧・迫害が続きました。
オバマ氏によって、引き起こされたアメリカの影響力の減少、空白の混乱に乗じて、ISIL、イスラム国の誕生という最悪の事態も招きました。
イスラム原理主義の、ISIL、イスラム国は、奴隷制の実施等、人権無視した暴挙で、この地域の弱者を虐げました。
オバマ氏がこの地域の混乱よりも、自国の利益を優先し、力のバランスを崩して、力の空白を生み出した結果、イラクでの、「アラブの春」が、イスラエルが予言した通り、「アラブの冬」となり、この地域の多くの人命と幸せな生活を奪うことに繋がったのです。
一方、シリアでは、イランのシーア派に近い、少数派、アラウィー派のアサドJrが、父の後を継ぎ、大統領の権力を笠に、腐敗政治を行い、アラウィー派の親族・同族だけに、利益を齎しておりました。
シリアもイラクと同様、「アラブの春」、民主化運動が吹き荒れ、他の外国勢力が妨害しなければ、多数派のスンニー派が、民主国家を創設するはずでした。
ところが、当時、アメリカ合衆国大統領オバマ氏は、自国の若者の血が流されるのを嫌い、シリアでの影響力を縮小させ、イラン・ロシア・トルコに、シリアの混乱処理を任せてしまいます。
戦争は、力のバランスが崩れた時に起こります。
この機に乗じて、ロシアは、中東での勢力拡大の為、それまで、劣勢であった、アサド政権を助け、武力でもって、シリアの民主化を妨げました。
現在、ウクライナで、プーチン氏は武力で暴挙を起こしていますが、シリアでも、同じ様に、シリアを破壊して、思慮あるスンニー派のシリア国民を弾圧しました。ロシアとアサド大統領は、「化学兵器さえ使用した」と言われています。
アメリカ合衆国大統領、オバマ氏は、諜報機関から、ロシアとシリアが「化学兵器、細菌兵器を使用する恐れがある」と情報を得ていました。「化学兵器、細菌兵器を使えば、レッドカートだ」とシリア、アサド大統領に、警告してはいましたが、アサド大統領が科学兵器を使用した後も、シリアへの影響力を放棄し、ロシア・イランに治安を委ね、放置したまま、何の行動をも起こしませんでした。
この弱腰姿勢が、ロシアのプーチン氏を更に傲慢にさせ、助長させる結果に繋がっています。
ウクライナに於けるプーチン氏の暴挙は、「シリアに於けるアメリカの弱腰」が大きく影響しているのです。
現アメリカ大統領、バイデン氏は、シリアでのプーチン氏の暴挙当時、副大統領の要職に在り、バイデン氏にも、「アメリカの弱腰」に責任があります。
バイデン氏とウクライナの関係を説明すると、彼が、オバマ大統領の下、副大統領であった頃、2009年7月に、不正選挙を覆し、ウクライナに新欧米政府を樹立させた時から、今まで、深い関係を保持してきました。
2020年、バイデン氏の息子が、ウクライナ企業から破格の金額を授与され、税金問題で、アメリカ全国で話題になった事もあります。
バイデン現アメリカ合衆国大統領の外交上の大きなミスの一つは、「アフガニスタンからの米軍撤退」です。悪名高く、愚かなトランプ大統領でさえ、外交・軍事専門家の言うことを聞いて、撤退を躊躇していた事項であるにもかかわらず、後先の見通しもなく、アメリカ兵の血が流されることを嫌がって、アフガン撤退を実行いたしました。これは、側近、外交・軍事専門家の助言を無視した行動でした。
結果は、皆様ご存知の様に、非近代的なタリバンが、あっと言う間に、アフガニスタン全土を掌握し、政権に返り咲きました。その為、豊かさを取り戻しつつあったアフガニスタン国民は、又もや、食料も暖房も得られない生活に落とし入れられました。中村哲氏の努力も水泡に帰すこととなっています。
何よりも最悪なのは、あまりにも多くのアフガニスタン国民が、難民となってしまったことです。 しかも、本来、アフガニスタン国を支えることのできる思慮ある人たちが、殆ど難民として、国外に逃避してしまった事でした。
これにより、アフガニスタン国内に於いて、貧困・飢え・病の為、さらに多くの国民が命を落とす事となりました。
その中で、最も被害を受け、犠牲となったのは、子供たちでした。
プーチン氏のウクライナ侵攻でも、バイデン米大統領の失策が続きます。
大国の外交で、最も大切なのは、「相手の国に、戦争の意志を捨てさせる事」です。
しかしながら、ロシア軍がウクライナに侵攻する前に、有ろう事か、バイデン氏は、「少しぐらいの侵略は、容認する発言」をしてしまったのです。
これにより、ロシアに、誤ったメッセージを伝える事となり、プーチン氏を助長させ、ウクライナの悲惨な現状に繋がっているのです。
オバマ氏・バイデン氏と言う民主党大統領2人と、その間の、「プーチンを天才」と称えた、史上最低の大統領、トランプ氏を含め、3代に渡るアメリカ大統領の、「自国の利益しか考えないアメリカンファースト」が、世界に「力の空白」を生み出してしまったのです。
この「力の空白」の間に、ロシアのプーチン氏、中国共産党の習近平氏、北朝鮮の金正恩氏を傲慢にさせ、助長させる事となったのは、この三代アメリカ合衆国大統領の失政責任でもあるのです。
「人命より、自国の利益を優先する悪人」が、世界に解き放たれるのを防ぐには、世界警察が必要です。
その中心を担うのは、今のところ、アメリカ合衆国しかありません。「強いアメリカ」の復活を祈ります。
現アメリカ大統領、バイデン氏には、汚名挽回の機会が未だ残されています。